本れびゅ。

小説やライトノベルなどの感想を思うがままに。

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喫茶店タレーランの事件簿  また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を

2013/12/09更新  ≪岡崎琢磨≫ ≪宝島社文庫≫ ≪2012年発行≫ ≪2013/12

喫茶店タレーランの事件簿  また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を

『喫茶店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』
岡崎琢磨著 宝島社文庫


つまらなすぎて逆におもしれぇwwww…と思ってました。最初は。

※今回色々ディスりますが、出来れば最後までお読みください。

ちょっと前から、本屋の一番目立つところに平積みされていたこの本。
いまだに本書や続編は、本棚の前のところに平積みになっています。

初めて見かけて真っ先に思い浮かんだのは、「ビブリア古書堂の事件手帖」。
タイトルの感じといい、画風は全く違いますが表紙の雰囲気といい、
意識してるのかなぁと思い、ビブリア古書堂の二番煎じ的なもんかとも感じました。
しかしその後もずっと目立つところに置かれ続けていたので、
きっと面白いのだろうと思ってました。二番煎じっぽかったから手を出さなかったけど。

しかしある日、ブックオフの安売りコーナーにすら、
「今読みたい注目の本!」見たいな感じで目立つように設置されていて、
よし、安いしそんなに勧めるなら読んでやろう!と思い衝動買いしました。
最初は正直期待していませんでした。

で、読み始めてしょっぱなから、思わず失笑。
内容は割愛しますが、
探偵役の切間美星「これはそういうことなんでしょう!(キリッ)」
助手役のアオヤマ「な、なんでわかったんですか!?すごい!」
というやり取りがありまして。
その推理が「そんなことにしてたら誰でもわかるわ!」っていうか、
「そんな変な感じにはしねぇよ!」っていうツッコミどころ満載な出来事でして。
わかりやすい謎、別に大したこと無い推理、
そしてそれをドヤ顔が浮かんでくるような文章で盛り上げようとしてくる。
文章の端々から感じる、「これかっこいいやろ!」「面白いやろ!」感に思わず苦笑。
「小説をかじり始めたばかりの、中二とは言わないけど、
高二くらいの人が勘違いして書いた小説」
と、そんな風に感じました。
その後も、あまりにもご都合主義な事件とチープな謎解き、ドヤァ感が続き、
そして不自然な決め台詞までもがドヤ顔で決められる。
あまりの高二臭さに「つまらなすぎて逆に面白いwww」と思って読み進めました。

第一話までは。

第二話からは一転。別の人が書いたんじゃないかって思うくらい面白くなります。
相変わらず事件はミステリーというよりヒューマンドラマ的な日常的な感じで起こります。
が、推理がとても面白くなってきます。
美星とアオヤマの、気持ちの良い会話劇で繰り広げられる推理がなかなか爽快。
最初のチープさやドヤァ感が全く無くなり、キャラクターたちに魅了され始めました。

そうなってくるともう止まりませんでした。
キャラクターたちの会話を楽しみながら話を読み進めていくと、あるとき物語は一転し、
伏線回収とどんでん返しの連続に。
そして最後には、
「最初に失笑していたドヤァ感までもが伏線だったっ!」
と思うような、気持ちの良い、すばらしい終わり方をします。

読み終えた後、私は床に本を置きました。
そして半歩下がり、ゆっくりと膝を付き、両手を前に付き、頭を床に付けて言いました。
「ディスってごめんなさい。」
自分でも、こんなに自然に土下座が出来るなんて思いませんでした。
素直に感服。

正直いうと、話自体はそこまで感動するほど面白いというものじゃないと思います。
キャラクターの軽快な会話が気持ちよく、ドラマとしてぼちぼち面白かったです。
でも、最初からのギャップが一番すごかった。
良い気持ちにさせられる「してやられた感」。これにやられました。

最初は読みづらいと思います。でも、もし手に取ったなら100ページくらい読んでください。
きっと面白いと感じるようになると思います。


でも、決め台詞のドヤァ感だけは最後まで苦笑してました。すみません。


 




十二国記 図南の翼

2013/10/22更新  ≪小野不由美≫ ≪新潮文庫≫ ≪2013年発行≫ ≪2013/10

十二国記 図南の翼

『十二国記 図南の翼』
小野不由美著 新潮文庫


以前、新刊の丕緒の鳥を紹介したばかりですが、新装版が出たので紹介します。
十二国記の中で、私の一番のお気に入りです。


十二国記シリーズは、それぞれ特色があります。
異世界へと飛ばされた少女を描くダークファンタジーであったり、
王にスポットを当てた国を統治する政治の話であったり、
麒麟にスポットを当てた少年の成長の物語であったり。
その中に基本的に描かれているのは、絶望的な暗い話の中で、希望に向かう流れ。
そのカタルシスが最高に気持ち良い物語です。


そんな中、この話は少し違います。


図南の翼は、昇山を目指す少女の、正統派冒険譚。
主人公は、首都に住む商家の娘、まだ10歳そこそこの少女、珠晶。
荒廃する国を案じながらも、自ら王になろうという気概の無い大人たちにうんざりし、
「ならばあたしが王になるわ!」と、珠晶は王になるために黄海への旅に出る。


この話が好きだという理由は多数ありますが、
一番の理由は、全体的に明るい雰囲気がある、ということです。
話の主題のためでもあるのですが、珠晶のキャラクターがとにかくハツラツとしていて、
つい応援してしまうような、見ていて楽しい、明るい気持ちになります。

普通なら、絶望的な旅路の話。
他のシリーズにあるような暗い雰囲気も、珠晶のキャラクターもあって明るく感じ、
その中でも絶望から希望へのカタルシスを忘れない、すばらしい作品です。


前にも読んだことはあったのですが、新装版を購入して改めて読み返しました。
やはり何度読んでも珠晶のキャラクター、彼女の旅路にはとてもわくわくします。
さらに、最初に読んだときには気付かなかった事にいくつも気付きました。
ああ、珠晶の旅にはこんな意味があったのか!ここで迎えに来た理由はそうか!
すべての出会い、事柄には意図があった!
と、天帝の意向を改めて認識し、話の上手さに感動しました。


また、ファンなら思わずにやりとしてしまうであろうシーンが盛り沢山。
黄海での、まさかのあの人との出会い。名を聞いたときに思わずうなりました。
最後にわかる、彼の正体。怪しいとは思ったけど、まさかそういう人だったとは!
迎えに来た彼に対する、珠晶の最後の一言。さすが珠晶!
どれも印象的で素敵なシーンです。


十二国記シリーズはどれも面白いですが、暗い雰囲気がダメだという人はいるでしょう。
そんな人には、この図南の翼はオススメです。

国や王、麒麟の設定がちょっとわかりにくいかも知れませんが、
それでも丁寧に物語が描かれているので、初めての人でも十分楽しめるでしょう。


 




スロウハイツの神様

2013/09/01更新  ≪辻村深月≫ ≪講談社≫ ≪2010年発行≫ ≪2013/09

スロウハイツの神様

『スロウハイツの神様』
辻村深月著 講談社文庫


読後の感想は、「してやられた!」


紹介してくれてた友人曰く、
「後半になって、会社があるのに徹夜で読んでしまった」という面白い小説。
それは楽しかろうと思いながら、読み始めました。


新鋭の脚本家赤羽環、中高生に人気の小説家チヨダ・コーキを中心に、
漫画家、映画監督、画家などクリエイターの卵が集まる、スロウハイツ。
現代版トキワ荘といえるアパートで繰り広げられる人間ドラマ。
全体の中心人物として赤羽環が居ますが、小説としては章ごとに注目する人物が異なり、
オムニバスのように話は進んでいきます。


この小説で面白いなーと思ったのは、人間の描き方。
ピックアップしている人物の描写は丁寧ですが、それ以外の人物はさらっと流し、
読者の想像に任せてテンポよく読める作りになっている…と思いきや、
後半に行くにつれて、さらっと流した部分が重要になってくるという、
なんとも憎い演出があります。

友人からも「後半の伏線回収がやばい!」「読み返すとわかる仕掛けがすごい!」
といわれていたにも関わらず、読後「してやられたなー!」と呻いてしまいました。
わかっててもはまる罠はすごい。


読み終わった時はその仕掛けに圧倒されましたが、それだけじゃなく、
それぞれの話もなかなか面白い人間ドラマです。
一応クリエイターとして活動していた人間として、赤羽環の発言は胸に刺さりましたし、
円屋には胃がキューっとなる思いをしました。

スーの話は、知人に似たような女の子がいたので、
ああ、こういう心理だったのかと妙に関心してしまいました。
そういう人間ドラマとともに、スロウハイツ全体に関わる事件が進行していく、
その話の流れが素晴らしい小説です。


で、重要なのはスロウハイツの「神様」。
最後にこの話になって、ニヤニヤワクワクが止まりませんでした。
ここもまた憎い演出です。

そして読み終わった後、友人と仕掛けについて語るのがとても楽しかったです。
シナリオが良し、仕掛けが良し、読み返して良し。面白い本でした。


他の本も面白いらしいので、今後も辻村さんの小説を読んでいきます。


 



◎本れびゅ。

作者

岡崎琢磨
小野不由美
神永学
大崎梢
辻村深月
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出版社

角川文庫
講談社
新潮文庫
文芸春秋
宝島社文庫
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発行年

2010年発行
2012年発行
2013年発行
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記事更新日

2013
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