本れびゅ。

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十二国記 丕緒の鳥

2013/08/05更新  ≪小野不由美≫ ≪新潮文庫≫ ≪2013年発行≫ ≪2013/08

十二国記 丕緒の鳥

『十二国記 丕緒の鳥』
小野不由美著 新潮文庫


十数年ぶりの新作も、作者はファンを甘やかさなかった…!

十二国記シリーズの、ファン待望の新刊。今回は番外的な短編集。
十二国記シリーズは、前作の「華胥の幽夢」から数年新作が発表されず、
短編が発表されても刊行されないという、ファンにとっては生殺しな状態だった。らしい。
らしい、というのも、私が十二国記を初めて読んだのが去年の秋のことで、
私にとっては生殺しという感覚が無いからです。
しかし、私に十二国記を勧めてくれた友人は相当悶えていたようで、
発売日には歓喜の叫びを上げていました。
十年以上のときを経ても、ファンの心をがっちり掴んで離さない。まさに名作。

まず、十二国記シリーズについて。
古代中国のような世界観の、国や時代を超えた、大河ドラマのようなダークファンタジー。
現実世界とは世界の仕組みが全く違う異世界で生きる、様々な人間のドラマを描いていく。
冒険あり、戦争あり、そして国政ありと、
短編を含めると非常に多彩な物語の集まりが、十二国記というシリーズです。
シリーズに一環して流れるのは、苦しさの中で必死に生きようとする人々の姿。
暗く重い悲惨な話を、登場人物たちの頑張りで逆転させていくというカタルシスは、まさに脳汁もの。
また、時代も国もバラバラの壮大なストーリーには時折共通点があり、
それに気付いたときの驚きも読んでて気持ち良いポイントです。


さて、本作について。
王や麒麟を中心に描いてきた過去の作品とは一線を画して、
徹底して民(というより国官の仕事)にスポットを当てている短編集です。
王を失い、乱れた国の中で、世界のために必死で働く男たちの戦いが胸を熱くします。
4本ある短編はすべて視点も職業も異なり、作品の雰囲気も違うものになってます。

中でも個人的なオススメは、丕緒の鳥と青条の蘭。
丕緒の鳥は、ここに焦点を当てるかー!って感じです。
「やたら派手な物々しい儀式」としか認識してなかったものに、実感が加わりました。
ここを掘り下げるとは驚きでした。
青条の蘭は、この短編集の中でも一際重く苦しい物語で、
その分最後のカタルシスがすごく、脳汁がだらだらと垂れ流されました。
あの絶妙な種明かしは、ファンなら感動間違いなしでしょう。

落照の獄も全く違う視点で面白いし、
風信も普段気にも留めないような事柄にスポットを挙げた、
現実世界にも通じる面白い話になってます。

しかし、十数年経ってやっと出た新刊が、
シリーズの本編ともいえる陽子や泰麒の話じゃないというあたり、
作者の小野不由美氏はファンを甘やかしてませんね。凄い。
でも早く泰麒の話の続きを読ませてー!

あと個人的には範王の話がとても気になります。


 



◎本れびゅ。

作者

岡崎琢磨
小野不由美
神永学
大崎梢
辻村深月
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出版社

角川文庫
講談社
新潮文庫
文芸春秋
宝島社文庫
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発行年

2010年発行
2012年発行
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記事更新日

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